agedbeginner’s diary

プログラミング・IT業界、シングルマザーの経済的自立に関することその他について発信

無料プログラミングスクールは、本当にオススメでないのか?

これまでのイメージ

 プログラミングスクールが隆盛を極める中、無料プログラミングスクールについてはある種暗いイメージがつきまとっていた。

 このことは、例えば

無料のプログラミングスクールは絶対におすすめしない3つの理由 | DAINOTE

や、

【業界人が語る】無料プログラミングスクールがオススメできない理由 | 未経験からエンジニアに転職してもいいじゃない

などの記事に見られるように、悪いイメージで語られることの多いSES(System Engineering Service。客先常駐派遣型)業界との繋がりで語られていた(実際、派遣業者が経営しているところもある)。(このブログなんかは、言葉を極めてSESを非難している。)

 しかし、実際に私が調べたところ、こうしたイメージは少なくとも現在、かなり誤解があると言わざるを得ない状況だ。

現在の無料プログラミングスクールの状況

 整理すると、上記の記事では、来ている受講生にやる気がないとか、途中でやめると返金を求められるとか、スキル向上が見込めないブラックなSES業者に無理やり就職させられるなどといった問題点が指摘されていた。

 もちろん、受講生にやる気が欠けがちなのは、無料のため受講生が気軽に応募できるという意味では理解できないことではない。

 しかしながら、前のブログに掲載された各スクールのHP

agedbeginner.hatenablog.com

を見ていただければわかるように、スクール側もいい加減な気持ちで来ないように入学資格で謳っているところが大半であり、就学態度が悪いと受講できなくなるように対処しているのが通常だ(教えるのに現実に金がかかる以上、就職できる見込みのない受講生を置いておくわけにいかないのは当然だ)。

 それだけでなく、途中でやめるときになんらかの金銭を要求するところは見つからなかった(例外として32・69番のスクール)。

有料スクールよりすごいところも

 逆に、最近は有料スクールよりもいろんな意味で充実していると思われるところがいくつも登場しており、有料スクールとガチに張り合っていることがうかがわれる。

 その筆頭は10番のスクールで、世界各地に展開しているフランスのスクールをDMMが誘致したもの(したがって理事長は合同会社DMM.comのCEO)。六本木の高層ビルの中にあるということもスクールとして圧倒されるが、推薦人も駐日フランス大使はじめ錚錚たる学者らを揃え、入学するために1ヶ月もの間作業をさせられる(Piscineと呼んでいる)という凄さだ。

 ここは、紹介手数料で運営しているのではなく、多数の著名企業がスポンサーになって運営されており(報道によると、将来は卒業生の寄付で運営したいとのこと。相当な自信だ)、そもそも卒業という概念がなく、スクールも24時間オープンしているというモーレツぶりで、その点でもこれまでのスクールとは一線を画している。

 それだけでなく、教材や授業がないというこれまた極端な自走システムを採用しており、与えられた課題を自分で調べて解決する手法が中心で、ピアラーニングで相互にコードレビューしたりして研鑽し合うスタイルらしい(アメリカのスクールは入学定員1000人規模に対し教員はたったの6人だとか)。ただ、海外のスクールの報道によると極端な成果主義で、コーディング試験に落ちると即退学になるという話も出ている。

 日本ではこれから始動するので、まだはっきりしたことはわからないが、やる気と能力の面で最もハードルが高そうだ。

学費後払い(ISAs)システム採用の学校は?

 次に注目すべきは9番のスクールで、入学時には受講料は無料だが、就職した場合に学費を分割で後払いするISAs(Income Share Agreements)というアメリカのBoot Camp型プログラミングスクールから始まった新しい契約モデルで、受講生が納得する転職が実現した場合に限り、就職後に発生する給与の一部を、一定期間にわたって支払うというものだ。

 ここだけ聞くと、単なる後払いに聞こえるが、まず、本人の納得のいく就職をした場合のみに返済義務が生じ(希望にそぐわない斡旋はしないし、途中で断念した場合も返済義務はない)、額面年収320万円以上(月収換算27万円)での待遇でIT専門職として就職が実現した場合のみ、一定期間、額面給与の15%相当額を返済に充てるというのだ。

 もっとも、高額な就職が実現すれば返済すべき金額も高くなるので、受講料が他のスクール比べて高いという感じもしないではないが(320万円の年収に対して15%(月額4万円)を36ヶ月返済で総額144万円)、6ヶ月という学習期間を考慮すれば、極端に高いとは言えないだろう。最近流行りの「結果にコミットする」というスタイルだ。

 ただし、ここも教養レベルのコンピュータ・サイエンスの基礎は学ぶもののいわゆる授業はなく、問題解決にフォーカスした自走型カリキュラムとなっている。

他の無料スクールは?

 旧来型は年齢制限のあるところが多く、20代限定と判で押したかのような印象があるが、もちろん例外はあり、40歳未満を受け入れているところもあるし、35歳までなら可能なところも複数ある。(就活型のスクールは、当然大学生などを対象としている)

 教えている言語についてもこれまた実に多様であり、SESがらみの言語とよくみなされるJava以外に、Web系の言語も教えているだけでなく、ネットワークやサーバ、ゲーム、AI系に至るまで色々なカリキュラムがある。

 ただし、注意しなければならないのは、学習期間やカリキュラム・シラバスについて明確な説明のないサイトが多く(これは有料スクールについてもそうだ)、どの程度のことを教えてくれるのかということについては、自ら問い合わせるなりして確認していただくしかない。

 地域的にも、20番のように全国各地に展開しているところもあるかたわら、必ずしも通所を必須としていないところもある(逆に宿所や移動費を提供するところもある)から、全国どこにいても受講できることはできる状況になっている。

 どのスクールもほぼ例外なく未経験者を対象としているため、業界事情がよくわからない人が行くことになるので、正規の学校(大学や専門学校)に行くこと(その場合には、コンピュータサイエンスなどをきちんと勉強できる)も含め十分に調べてから進路を決めてほしい。