agedbeginner’s diary

プログラミング・IT業界、シングルマザーの経済的自立に関することその他について発信

プログラミング学校を卒業して思うこと その6

就職・転職率ほぼ100%って

 私の卒業した学校だけでなく、他の学校もそうであるが、転職保証とか案件保証などといった謳い文句が華々しくHPを飾っている。

 しかし、ここでいう転職保証の「転職」の中身は問題だ。

 どのサイトでも転職率ほぼ100%とか、転職できない場合は全額返金といった文字が踊っているが、そもそもこの業界は慢性的人材不足だから、エンジニアでありさえすれば業界に潜り込むこと自体は当然難しくない。

 問題は、就職できるにしても、どの程度の評価つまり給与・報酬をもらえるかであるが、私が見聞きする限度では、求人にあるのは年収300万円前後だと思われる(「学校」側は、転職率は発表するが、転職した際の年収の平均とか分布については一切発表していない)。

 常識で考えても、この程度の額ではエンジニアとして認めてもらっているとは言えない。

就職・転職率の嘘

 就職するのは大抵若者だから(その理由は後で触れる)、ある意味その程度の年収でも彼らにとっては、やや少ないという程度で我慢でき、将来の昇給含みを前提とすればあながちダメとも言い難い部分がある。

 しかし、本当に気をつけなければならないのは、就職・転職率の数字にはウラがあるということである。

 ここでいう「率」を計算する際の分母は当然「卒業生」であるが、実際には相当数の脱落者が出ている事実が巧妙に隠されている。

 私の出た「学校」では、著名サイトのコピーサイトを作る「最終課題」に入る前に、学校側が設計したあるWebアプリのデプロイまでを達成しなければ最終課題に進めないことになっているが、最終課題に入る時点で、私のいた昼間のコースでも2割の受講生が脱落し、土日夜間のコースでは何と5割の受講生が脱落しているのである。

 この脱落者を含めた数字を出せば、「学校」側が言っている数字がまるきり色褪せてしまうことは誰も否定しないだろう。

 それより、5割が脱落するようなシロモノが、そもそもビジネスとして成り立っていると言えるのか?下手をすれば、誇大広告とか詐欺とさえ言われかねない。

スクールのビジネスモデル

 「学校」によっては、「学校」を通じて転職できた場合は、受講料が返金されるというところもあるどころか、極端な例では受講料無料というところさえあるが、ここにヒントが隠されている。

 私の卒業した「学校」もそうだが、軒並み有料職業紹介事業の許可を取っている。つまり、卒業生を紹介して採用企業側から報酬を受け取るのだ。

 有料職業紹介の報酬相場は、調べてもらえばわかるが転職者の年収の30%ぐらいで、最低でも10%である(実際には35%とっているようである)。

 つまり、とにかく就職さえできれば、最低でも1人あたり30万円、多ければ100万円程度の報酬が手に入るからこそ、受講料無料にできるのである(なので、無料は転職コースだけで、転職を前提としないコースは有料だったりする)。

 もうお分かりであろう。実は、プログラミングを教えることよりも下手すれば紹介の手数料の方が多いのである。私の出た「学校」では、入社後もサポートすることを自慢しているが、私が経営者だったら、何度でも何年経っても紹介するだろう。

できるだけ早く一丁上がりにすること

 「学校」として留意すべきことは、曲がり形(なり)にも「エンジニア」を紹介するということであるから、紹介するのは素人とかエンジニア志望者ではなく「エンジニア」でなくてはならないということだ。

 そこで「学校」側としてはどうするか。エンジニアの定義などないので(本当は各種国家資格もあったりするがなくても就職できるので)「アプリを完成させられる能力」が一応の目安になる。

 なぜなら、業界では自分で開発したアプリを「ポートフォリオ」といい、これを持って就職活動の際の実力の証明に代えるということが行われているからである。

 そうすると、「学校」側としては、できるだけ短期間にそれなりの見栄えのするアプリを「開発」させ、そいつにエンジニアというラベルを貼り、就職という納品を済ませて報酬を手にすればいいのである。

 最初の頃に触れた正規の学校と違い、プログラミングスクールが「短期間で養成」を売りにしている理由がここにあり、これが、すぐにでも就職したい志望者のニーズとマッチしているからこそ、今日の「プログラミングスクール」の隆盛があるのである。