スタックオーバーフローの２０１９年開発者調査結果について その１
Stack Overflowって？
世界的に最も使われている職業プログラマ向けのQ&Aサイト。
もう１０年以上の歴史があるみたいだが、全世界で月間５３００万のアクセスがあり、ユーザは月間平均４回訪れ、１８００万もの質問に対し２８００万の回答が蓄積されているととんでもないもの。オフィスもニューヨーク・ロンドン・ミュンヘンにあって、２５０人以上のスタッフがいるらしい。日本語のサイト（https://ja.stackoverflow.com/）もある（ただし、内容は異なる）。
ここが毎年職業開発者を対象にして包括的な調査をしているわけだが、その調査結果が非常に興味深いので、プログラミングスクールの話の合間に紹介したい。
https://insights.stackoverflow.com/survey/2019 ← レポート現物はここ（英語）
調査に参加したのがなんと９万人！
調査の対象者は、９万人弱であるが、回答者のうち２３.６４％がアメリカ、１０.２３％がインドとなっており、続いてドイツが６.６２％、イギリスが６.４７％、カナダが３.８３％、フランスが２.７０％、ブラジル２.２０％、ポーランド２.１７％、オーストラリア２.１５％となっている（ちなみに日本は日本語版があるせいか０.４４％）。
回答した開発者の職務種別としては、フルスタックと呼ばれる何でも屋さんが５１.９％、バックエンドと呼ばれるアプリ開発のロジック部分を担当するのが５０.０％、フロントエンドと呼ばれる主にユーザ（クライアント）側の見た目に関する部分（要するにHTML/CSS/JavaScript）を担当するのが３２.８％、デスクトップあるいは大企業向けの開発が２１.３％、モバイルアプリの開発が１８.１％、学生が１４.７％、データベース管理者が１１.７％、デザイナー１１.３％、、、という構成。
人種構成も発表されていて、白人または欧州系が７０.８％を占めており、次に来るのは南アジア系（要するにインドということになる）１１.９％、ラテン・ヒスパニック系が７.１％、東アジアが５.９％、中東が４.７％、黒人またはアフリカ系が３.６％と、国別の数字と符合している。
コーディング経験年数は、最多が５〜９年で３１.３％、１０〜１４年が２１.６％、１３.４％は５年未満である。
プロはどのように勉強しているか
ちょっと変わったことも聞いていて、初めてコードを書いた（プログラミングをした）年齢というのがあり、１４〜１５歳が最多で１９.６％、１６〜１７は１６.６％、１２〜１３で１６.１％、１８〜１９では１４.３％である。１０歳以下というのも８.７％いるから、世界ではかなり早くからコンピュータに親しんでいるようだ。
職業開発者のうち６３.３％がコンピュータサイエンスなどを専攻（おそらく大学であろう）している一方、８６.８％が新しい言語・フレームワーク・ツールなどの学習は、自分で勉強しており、オンラインコースで勉強するのは６０.１％、４３.６％はOJT、フルタイムのブートキャンプに参加しているのは１６.０％である。ハッカソン（グループで議論しながらコーディングするイベント）に参加している人も２７.１％いるとのことで、少々驚き。
女性とプログラミング
注目すべきは、回答者のうちの女性の割合。
男性が９１.７％！女性はたったの７.９％。しっかりそれ以外という区分も設けられており、性的指向としてストレート・ヘテロセクシュアルかバイセクシュアルか、ゲイ・レズビアンかまで聞いているのは、さすがとしか言いようがない。ちなみに、全体でストレートが９３％、バイは５.５％、ゲイ・レズビアンが２.７％だと。
はっきり言って、業界にほとんど女性がいないことになるが、うちの学校も名簿では、同じ期の１割が女性だったから、そんなものかとは思う。
こんなデータまでとってるとは...
なんと、心身障害に関する情報までとってあり、精神障害でいうと、感情障害（抑うつ、双極性）が８.８％、不安障害が８.６％、ADHDなどの集中・記憶障害が６.４％、自閉症やアスペルガーなどの自閉スペクトラム症が２.６％となっている。
身体障害では、１.５％が視覚障害、聴覚障害が０.８％、起居動作に補助が必要な程度が０.３％、非定型が０.３％である。
気になる年齢分布は？
回答者全体のうち最多が２５〜２９で２７.６％、次が２０〜２４で２１.１％、３０〜３４が１９.３％、３５〜３９が１１.９％、１５〜１９と４０〜４４が５〜６％となっているから、やはりかなり若い業界だと言えるだろう。私の年齢層なんか、１.２％ですよ。プロに限定すると、やや高齢に寄るが、それほど顕著でもない。
長くなってしまったので、肝心の調査結果は次回に
